甘いものを食べると心が軽くなる。 でも、何かが重くなるよね。

どんでん返しミステリー    其の3   【闇に香る嘘】

闇に香る嘘

この記事は広告を含みます

今回ご紹介するのは、下村敦史さんの

闇に香る嘘

                                です

こちらは第60回江戸川乱歩賞受賞作です

本作は全盲の主人公、村上和久による視点により展開してゆきます

ころんの画像
ころん
ん?
全盲の主人公による視点?
どういうこと?
らくだ楽
らくだ
視点=語り手、と考えてください
全盲であっても、
『右から車が近づいてくる音がした』
のように、視点は成立するんですね
advertisement

【闇に香る嘘】のあらすじ

満洲から引き揚げた後、失明した村上和久は、孫に腎臓を移植しようとするが検査の結果、不適合と知る

藁をもすがる思いで、永住帰国した中国残留孤児の兄の竜彦に移植を頼むが、頑なに拒否する兄の態度に違和感を覚える
やがて不合理な言動から、兄は偽物ではないかと疑惑を抱く
全盲の和久が兄の正体を追うにつれ、迫り来る危機
27年間、兄だと信じていた男は何者なのか?
ころん 笑顔
ころん
盲目の主人公による一人称視点(一人語り)?
無理があるんちゃうか。
視覚情報抜きで、物語をどう描写するんや

らくだ楽
らくだ
健常者では気付かないかもしれませんが、視覚情報以外でも、様々な描写は可能なんです。

らくだが、この本をリコメンドする理由もそこにあります

【闇に香る嘘】のポイント

たった一行のくだりで

殆どの謎や違和感は解消してしまう。

そこで世界も反転する
という京極夏彦さんのレビューが全てを物語っているでしょう
そして、本作の真骨頂は、やはり盲目の主人公視点でははないでしょうか
全盲であるが故の恐怖や悲劇が矛盾なく描かれており、屈折した心理までも感情移入させられてしまう筆力は見事です 
ぜひ、反転した世界を味わってみてください
ころんアイコン
ころん
世界が反転?
いったいどんな一行や!!
らくだ左向き素アイコン用
らくだ
それはやはり、読んでもらうほかはありませんね

視覚障害者の視点描写

もちろん、この著者である下村先生は視覚障害者ではありませんが、多くの健常者には思い至れないようなことが、リアルにえがかれています

 ここの交差点は音響装置付き信号機ではないので、渡るのが難しい。視覚障害者にとっては、行き交っているのが『音』だけでも、そこには必ず実態がある。一トンもの重量を持った鉄の塊だ。一寸の油断も許されない。隣からは少年同士の会話が聞こえてくる。
 私は二人が渡りはじめたタイミングで足を踏み出した。クラクションとブレーキ音が耳をつんざいた。焦げたゴムの悪臭が鼻をついた気がした。迂闊だった。少年らは信号無視したのだろう。

 永遠に続く常闇を見回した。闇に取り囲まれていて、正しい道を見つけ出す手がかりが何一つない。現在地はどこだろう。どこでどう間違ったのだろう。人通りのない場所で道に迷うと、立ち往生しなければならない。斜め右前方から、心臓を鷲掴みにする踏切警報機の甲高い鐘の音が聞こえてくる。直後、レールを掻き毟る金切り声じみた轟音と振動が伝わってくる。怖い。離れなくては。

 私は仕事部屋で煙草を吸いながらアルバムをめくっていた。懐古の念に浸りきっていると、指先から煙草が滑り落ちた。「あっ」と声を上げ、闇の中で這いつくばって絨毯に手のひらを這わせた。どこだ?どこに落ちた?    〜
 何かが弾ける音がした。鼻孔にに煙がしみる。愕然として振り返ると、漆黒の闇が濃紺の闇に変色していた。

ころん 笑顔
ころん
わてやったら、怖くて家から出られへんわ
らくだ左向き素アイコン用
らくだ
家の中では、外界からの音がしないので、静寂の暗闇になってしまいます
それを主人公は「巨大な棺桶に閉じ込められたよう」と表現しています
家の中とて、想像以上に息苦しい環境ではないでしょうか

誰もいない筈の家の中で、微かな物音がしただけでも恐怖におそわれるそうです

もちろん、屋外での脅威となれば計り知れません

らくだが驚いたのは、まっすぐ歩けないということです

確かに目を閉じて歩こうとしたとき、目標とする地点もわからなければ、自分がフラつかない指針もありません

横断歩道の幅でさえ困難ですし、歩くスピードもとても遅いものとなり、途中で信号が赤に変わることも考慮しなければなりません

また、作中では電車のホームについての恐怖を
『ホームでは寿命を削る緊張を強いられる。谷に架せられた橋に欄干がないなら、晴眼者は目を閉じて歩く度胸があるだろうか。』と書かれています

確かに……恐怖です

様々な疑念や違和感の中、視覚障害者の不安定な視点を通して、驚愕の真相にたどり着く終章は圧巻です!

ぜひ、ダマされてください!!

あなたもブログ・アフィリエイトをはじめてみませんか?

ブログ・アフィリエイトがよくわからないから踏み出せないという声がよく届きます。 いつかはブログ・アフィリエイトで副収入が欲しい方・第一歩の踏み出し方がわからない方はこちらをご覧ください。らくだブログの全てを解説します。

CTR IMG