今回ご紹介する本は秋吉 理香子さんの
聖母 THE HOLY MOTHER
です
みなさんは「倒叙」という言葉を聞いたことがありますか?
今回はその「倒叙」という形式を用いた、倒叙ミステリーです
本記事では倒叙について説明をしながら、本作をご紹介していきます
どんでん返しミステリー「聖母」はどんな話?

本作は、序盤で犯人が明確になってしまいます
これが先に述べた「倒叙」という手法です
倒叙について

その後、何を楽しみに読み進めたらええんや
訳がわからんわ

でも、きちんと面白いんです!
犯人を当てるタイプの典型的なミステリーは、誰が犯人かという事にフォーカスが当たります(本書も大筋はこちらに該当します)
対して、犯人が明かされている倒叙ミステリーは、刑事や探偵が真相に迫ってゆく過程を、犯人の視点になってハラハラしながら、どうやって真相にたどり着くかにフォーカスが当たります
探偵視点から犯人を推理する通常ミステリーに対して、倒叙ミステリーは犯人視点がメイン視点となる訳ですね
過去の有名な作品としては
- 容疑者Xの献身
- 掟上今日子の挑戦状
- 探偵が早すぎる
なんかが有名ですね
顔出しで犯人の殺害シーンが冒頭で描かれ、それを捜査する警察が犯人の周りをうろつく、というのが倒叙形式の王道ですね
ミステリーの世界では、犯人というのは影から一部始終を、ほくそ笑みながら眺めているイメージですが
現実の犯人というのは、焦りや後悔や苦悩といった、ドラマチックな心理を抱えているものです
こういった犯人の心理を描くには、倒叙の手法がピッタリなんですね
ダブルミーニング

なんやそれ

本書は一度読んだだけでは、本当の意味はわからない仕組みが講じられています


二度目以降は違う意味になります
いわゆる『ダブルミーニング』という高度な手法なのですが、あまりお目にかかれないテクニックなので、らくだ的には必見だと思います
「聖母」のあらすじ

不妊治療の末、奇跡的に娘を授かった保奈美の街で幼児の遺体発見のニュースが流れた
- トリッキーに倒叙形式を使ったミステリー作品
- 女性が共感しやすい題材
- 猟奇的犯罪シーンあり
- 犯人がわかってからも謎が深まる
- 読み返すと、違う意味の言葉に気づく

おもしろそうやないか

作者の秋吉理香子先生といえば「暗黒女子」が有名ですが、本作も負けず劣らず読者の心を掴みます
スカッとダマされてください!