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今回ご紹介する本は、井上 夢人さんの
ラバー・ソウル
です
みなさんはストーカーを経験したことはありますか?
もちろん被害者の方ですよ(汗)
らくだは田舎者なので、周囲でも聞いたことがないくらい無縁なのですが、ラバー・ソウルを読んでストーカー行為のえげつなさにゾッとしました
でも、ホラーではないので安心してお読みください
きちんと後半にカタルシスが待ってますよ
ラバー・ソウルはどんな話?


物騒なん好きやなぁ

やっていけませんから
章の構成がビートルズのアルバムをオマージュしている
関係者への取り調べ調書の形でストーリーが展開
読後の声は「切ない」「悲恋」「読後放心」
【ラバー・ソウル】のあらすじ

親からも顔を背けられる容姿をもち、36年間女性にも無縁だった鈴木誠と社会の唯一の繋がりは、洋楽専門誌の音楽評論だった
たまたま見学した雑誌の撮影現場で、誠は美しきモデル美縞絵里と出会う
やがて絵里の周囲でおこる同僚モデルの死
執拗なストーカー行為に怯える絵里の恐怖は、やがて誠の狂気をあぶりだしてゆく

帰宅途中に後ろから、尾行されてる足音が……とか
ポストの郵便物を物色されてる……とか

ゾッとするストーカー描写

ぼくは生活空間のすべてを絵里で埋め尽くすことができた。どの方向を見ても、絵里の姿が目に映るようにしたかったのだ。どの部屋も、四方の壁には絵里の写真をコラージュした額がかけてある。どのデスクでもテーブルの上でも、スタンド式のフォトフレームの中から絵里が笑顔をぼくに向けてくれていた。
ぼくが絵里から与えられているもののことを思えば、たとえ微力だろうと何かの役に立ちたいと考えるのが当然のことだろう。
なぜなら、絵里がぼくにくれたのは生きる力そのものなのだから。
〜
今、ぼくの生命の源は絵里にある。
だから、せめてそのお返しをしたいと思っているのだ。
絵里を護ること。全身全霊で絵里を護る。それがぼくに与えられた使命なのだ。
その拍子に絵里が泣き出した。そして信じられないような行動を、男が起こした。トミナガは、泣いている絵里の肩を掴んで引き寄せ、彼女の顔を自分の胸に押しつけたのだ。
ぼくは、意味もなく窓のほうを振り返った。
今ここにライフル銃があったら、僕は窓を開け、向かいの303号室に発砲していただろう。間違いなくあのデミオ野郎の脳天を撃ち抜いていた。
椅子から立ち上がり、ぼくはグルグルと部屋の中を歩き回った。
あの男を許すことなど、もう不可能だった。
バスタブに湯が張られていたんです
見ると、畳んで重ねて置いてあった筈のバスタオルが、生乾きのまま洗面台の横に掛けられていました。そして、その洗面台に置いてあるプラスティックのコップには、わたしの歯ブラシが投げ込まれていました。
留守の間に忍び込んだ鈴木誠が、バスルームで何をしていたのか、想像がつきました。
読者の気持ちを逆撫でする筆力が見事ですよね
実際に「ストーカーの描写に嫌気がさして、読むのをやめかけた」という声も、ちらほら見かけます
でも、みなさん一様に「ところが最後まで読んでガツンときました」という声が圧倒的です
どうか、心折れないで読了してくださいね

おまけ らくだがラバー・ソウルを手にした理由

この本の著者、井上夢人先生はもともと徳山諄一先生と二人組の作家として、岡嶋二人のペンネームで活動されていました
らくだが岡嶋二人先生のファンであったことから、井上夢人先生の作品を手にとったのですが、見事にこの作品でもノックアウトされた次第です
もし、この作品を読んでグッときたら
ぜひ、岡嶋二人先生の作品も読んでみてください!
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