今回ご紹介するのは、降田 天さんの
女王はかえらない
です
第13回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作品です。
舞台は小学校。三年一組に君臨する女王の座をめぐる、スクールカーストを描いた物語です。
ドロドロしてます。イヤミスが嫌いな方は、スルーしてくださいね。
『このミステリーがすごい!』大賞とは
宝島社のノベルス・コンテストで、非常に多くの作品がメディア化されているミステリーの賞です。

何も考えずに『このミス』の中から選んだりします
もちろん、映画化されて大ヒットした作品もあります。
著名なこのミス作家の作品
2002年 | 逃亡作法 TURD ON THE RUN | 東山彰良 |
2004年 | 果てしなき渇き | 深町秋生 |
2005年 | チーム・バチスタの栄光 | 海堂尊 |
2008年 | 臨床真理 | 柚月裕子 |
2009年 | さよならドビュッシー | 中山七里 |
2016年 | スマホを落としただけなのに | 志駕晃 |

話題作が目白押しなんです!
『女王はかえらない』はどんな話
本書は三部構成の物語です。こちらの目次をご覧ください
- 第一部 子どもたち
- 第二部 教師
- 第三部 真相

この目次がなんやねん?

【真相】とありますよね

それが、どやねん?

第一部と第二部を読んで、第三部の真相を予想してくださいということではないでしょうか。
きっと!

普通はそうは考えんやろ

でも、そういう方向性で読み進めてみてください
とても楽しいですよ
幾重にもしかけられた叙述トリック
学級崩壊やスクールカーストの描写が、不快なほどにリアル
真犯人の正体は、アンフェアギリギリのまさかの人物
「女王はかえらない」のあらすじ
舞台は片田舎の針山小学校。
四年一組のヒエラルキーの頂点に君臨していた女王マキの生活は、転校生のエリカによって打ち砕かれた。
それまでのマキの取り巻きでさえも、次第にエリカの傘下にくだってゆき、クラスは泥沼の権力闘争へと発展してゆく。
そしてとうとう夏祭りの夜。クラス全員の目の前で残酷な結末を迎えてしまう。
残念だったポイント
幾重にも仕掛けられたトリックですが、正直見破るのは無理な感じですね。
少々強引な人物設定と、ヒントの少なさにアンフェア感を感じました。
作者の降田天さんについて
降田天は、プロット担当の萩野 瑛さんと、執筆担当の鮎川 颯さんの、女性二人組によるペンネームです。
この二人はすでに2007年に「鮎川はぎの」という名義で、すでに第2回小学館ライトノベル大賞〈ルルル文庫部門〉期待賞を受賞されてるんです。
つまりは、すでにプロのライトノベル作家として活動されているお二人なんですね。さらには「高瀬ゆのか」名義でも漫画のノベライズを発表されています。

なんでや?

デビューから数年が経過し、今度こそもう駄目だろうと思う瞬間があり、互いに色々なことを考えたと思います。(中略)どちらが言ったかは覚えていませんが、「おもしろい話を作りたいなあ」と。それに対し、もう片方は「そうだね」と返しました。
これまで読んできた好きな本の話をしました。あれも好きだこれも好きだ。本の話をしているだけで元気になれるのだから、やはり本を、物語を作り続けたい。呪われているかどうかは分かりませんが、やっぱり私たちは創作の魔力からは逃れられないと思い知ったのです。
とにもかくにも、創作を始めてからずっと胸にあり続けた想いを改めて口に出したことで、何かが確実に変わりました。手始めに「いつか」挑戦したいと思っていたミステリーに、「今」挑戦することにしました。少女小説でも、ミステリー風味の作品は何冊か書いてきたのですが、「風味」を取ったちゃんとしたミステリーを作り、賞に応募しようと決意しました。
【「いつか」挑戦したいと思っていることに「今」挑戦する】
挑戦するって、エネルギーが必要です。
何かに挑戦したいと思いながらも、何かしらの言い訳を作って、挑戦を先送りしていませんか?
心当たりがある方は、今一度考えてみてください。あなたには、きっと忙しい未来が待っているはずです!

ほんだら、公務員やしな
将来安定や!!

それに、ポメラニアンの警察犬は、まだいないようです
チワワやトイプードルはいますが

そ、そんなに優秀なんか!
敗北感‥‥
最後に
二人組の作家と聞いて、らくだが連想するのが「バクマン」という漫画なのですが、その作中に出てくる名も無いおじいさんの言葉で、印象的だった言葉があります。
「私は若い時俳優を目指し、脇役で何本か映画にも出させてもらったが、大成はしなかった。しかし、全力を尽くしたからなのか悔いはない。今思えば、あの頃が一番楽しかった」
こう言って、笑える人生を送りたいものですね。